1年ぶり『島守のうた』鑑賞記

2019年6月22日土曜日

 

浦添市てだこホール小ホールにて舞台劇『島守のうた』を観てきた。

 

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『島守のうた』とは、1945年第二次世界大戦末期の沖縄で県知事として指揮を執った島田叡(あきら)と県警察部長の荒井退蔵の二人について史実に基づいて描いた作品。

 

2018年3月に那覇市で初演を行い、今度は浦添平和発信事業の一環で再演となったのだった。

 

あらすじ

 

外は雨、ひとりの老年男性がラジオを点けると、『ラジオ放送演劇〜アダンの島』が始まった。

そこで沖縄県知事島田叡の名を耳にする。男性は当時沖縄県庁に勤めていた島田の元部下だった。しかしラジオからは事実と異なる内容が流れため男性は怒りを覚えてしまい本当に起こったことについて後世の人たちに伝え知らせるために、回想し書いていくことにした。

 

鑑賞して

 

島田叡、荒井退蔵両名の人柄はもちろん沖縄県民に対して相当尽くしていたことが良く理解できるように描かれており、今回から新たに島田が県知事就任前の知事の様子も登場したので、リーダーとは誰がなるかで荒井退蔵の受け止め方もこうも違ってくるのかと思わずにいられなかった。

さらに島田叡が部下たちに「君たちは生きろ!」と諭していたことには御国のためには自らの命も厭わずという教えが浸透していた時代に反して後のことを見据えていたのかと僕にとっては改めて驚いた。

また、当時の日本兵が住民に対して行ったこと様子は蛮行そのもので僕も怒りを禁じ得なかった。

場内からは鼻をすする音が響き渡り改めて戦争に巻き込まれる悲しさが伝わってきた。

 

沖縄戦が終わって長い年月が経ち、当時経験した人たちがどんどん少なくなっていく。そんな中で沖縄戦の様子を今回演劇で表現するのは後世に伝えていく有力な手段だと僕は考える。今後は沖縄各地はもちろんのこと、日本各地でも行われていくようになればと願う。